トップ3%の人は、「これ」を必ずやっている上司と組織を動かす「フォロワーシップ」/伊庭正康

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数多くのビジネスパーソンのなかで、フォロワーシップをしっかりと発揮できている人は、ごくわずか。だからこそ、そのわずかな人が「上司からの信頼を勝ち得て、チャンスが集中する」という法則が世の中にはある。理想のキャリアを手に入れるために不可欠となる、フォロワーシップの高め方と具体的な実践手法を紹介。

「フォロワーシップ」を知っていますか?

 フォロワーシップとは、上司の「至らない点」や「見えていない点」があれば、積極的にサポートし、組織を良くするために影響力を発揮するスキルのことを言います。決して、忖度することやイエスマンになるといったことではありません。

「仕える」のではなく、「支える」ー。

 それが、フォロワーシップの基本姿勢。カーネギーメロン大学のロバート・ケリー教授の著書 『The Power of Followership』(邦訳「指導力革命ーリーダーシップからフォロワーシップへ 』牧野昇訳/プレジデント社)によって注目を浴びた、アカデミックな裏付けのあるグローバルスキルです。

 今では、選抜型リーダー開発の必須科目と言っても過言ではないくらいに広まっています。

「次々とチャンスが舞い込む人」がやっていること

 答えは「フォロワーシップ」にあります。

 

 フォロワーシップとは、「上司自身にスキルの不足や見えていない問題があるなら、参謀のようにサポートする姿勢」のことをいいます。

 確かに、組織には少なからず、問題はあるものです。

 当時の私には、このフォロワーシップの考え方は一切ありませんでした。

 そのため、組織の問題に対するセンサーの感度も弱かったと思います。

 自分の業務上の問題にのみ関心を持ち、上司の立場では物事を見ていませんでした。「もっと、来ていいよ」は、提案や相談があるならもっと来ていいよ、ということ。さらに言うと、「つ上(私)の立場で、問題があるなら教えてね」ということなのです。

 その後、私はフォロワーシップの権威、カーネギーメロン大学のロバート。ケリー教授の著作などを通じて、フォロワーシップの考え方を学びました。そして数多くのビジネスパーソンを見てきましたが、このフォロワーシップをしっかりと発揮できている人は、ごくわずかです。

 だからこそ、そのわずかな人が「上司からの信頼を勝ち得て、チャンスが集中する」という法則が世の中にはあるのです。

 実際、私がこれまで出会った、いわゆる一目置かれるリーダーもスペシャリストも、上司に対して、遠慮せずに議論をしていたり、時には苦言を伝えていたり、まさにフォロワーシップを発揮している方ばかりでした。

 このフォロワーシップを知らないと貧乏くじを引く、と言っても過言ではありません。

よく、「同期で入社したけど、あいつは上司に気に入られているから、自分よりはやく出世できたんだ」と愚痴をこぼす人がいます。

しかし、出世の理由が「上司に気に入られていたから」だけでは難しいと思いませんか?そこには必ず別の理由があります。

たとえば、上司の仕事にほとんど貢献していないAさんと、上司の仕事に貢献しまくりのBさんがいるとします。AさんとBさんの仕事の能力があまり変わらなかった場合、みなさんならどちらの部下を評価しますか?

考えるまでもなく「Bさん」を選ぶはずです。

仕事ができる上に、上司の仕事まで助けてくれる部下が評価されないはずがありませんよね。

出世できるということは、「この人は仕事ができる上に、いざという時は誰かを助けることができる能力がある」と判断された結果なのです。

資格も取った、本も読んでいる。でも、報われないのはなぜ?

 研修講師という仕事柄、多くのビジネスパーソンと接します。

 その中でよく見かける残念なパターンがあります。

 その人たちは、資格も取っているし、本もたくさん読んでおり、打ち合わせでもチラチラとその片鱗を出してきます。

 「それは、マクレランドの考え方ですよね」

 「ポーターも言っていますが、戦わないことは大事ですしね」

 知っている人なら、「まさに、そうです」となるわけですが、知らない人が聞くと、こう思うわけです。

 「何をワケのわからないことを言っているんだ。その知識を仕事で使えよ」

 知識は「職場のため」「お客様のため」に活かしてこそ歓迎されます。

 知識もお金も一緒。持っていることをひけらかす人は嫌われます。

 ひけらかさずに、さりげなく使ってくれる人が歓迎されるのです。

 資格もそう、学習もそう、異業種交流会で得た情報ですらもそう。

 自分たちのために使ってくれる人が歓迎されるのです。

 では、どうすればいいのでしょうか。

 「学んだ知識を職場にどう還元するか」もセットで考えることです。

 この行為も上司がやってほしいこと。つまり、「フォロワーシップ」になるわけです。

資格や本などからインプットした知識を上手にアウトプットすることが苦手という人がいます。

結果が全ての世の中において、習得した知識を仕事現場で活用せず、単に披露するだけでは何の価値にもならないのです。

たとえば、弁護士の資格を持っていても「それは憲法の何条に違反するね」と口で言っているだけでは、価値がないのです。

人を助けることに知識を使ってはじめて弁護士の価値が世の中で生まれるのです。

自分の持っている知識はどんどん価値に変換していくことが重要です。

なぜ、今、フォロワーシップなのか?

 当時のアメリカは、双子の赤字(貿易赤字、財政赤字)を抱え、経済が衰退傾向にあり、ニューヨークのロックフェラーセンターは三菱地所に買収され、ハリウッド映画の中心にいたコロンビア映画はソニーに買収され、ホノルルにあるアラモアナセンターもダイエーに買収されるなど、彼らのシンボルが次々と外資に塗り替わっていく状況でした(今では想像もできませんが)。

 また、上司の間違った判断を制御する役割が必要になってきたのもこの頃でした。

 そんな背景もあり、「これまでのリーダーの経験だけでは乗り切れない」という空気が、ビジネス界に広まっていたのです。

 そして、今、日本にもこのフォロワーシップの潮流は来ています。実際、私も多くの大手企業の中堅社員研修でフォロワーシップ研修の相談をいただくようになりましたし、企業がフォロワーシップを持つ人材を切望していることを実感します。

 では、なぜ今、日本で、急速にフォロワーシップが必要になってきていると思いますか?

 それは、経営者が現場の想像を超える「強い危機感」を抱いているからにほかなりません。「上意下達では生き残れない」と真剣に考えているのです。

 戦略の判断、コンプライアンス、働き方改革……数年で環境が激変する時代において、もはやトップダウンでは乗り越えられないそれが企業の常識になっています。

 上司の経験や常識が陳腐化するスピードが、ますます速くなっているのです。

インターネットの登場によって、時代の流れが急激に加速しはじめた現代では、昔の常識というものが通用しなくなってきました。

ちょっとしたことが問題になってしまう、こんな時代だからこそ、40〜60代の上司は現代の常識について知っておかなければいけないのです。

そのためには、現代の常識を知っている部下にフォロワーシップをしてもらい、取り返しのつかない失敗を未然に防ぐ必要があるのです。

上司や会社に仕えるイエスマンを目指すのではなく、最終的に自分にチャンスが舞い込むように、あらゆる面から上司や組織をサポートすることが目的のフォロワーシップ。このフォロワーシップを高める習慣や仕事現場での実践的な活用方法などを学べる書籍です。

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